僕はシナリオの勉強をしようと思って、
青山にあるシナリオセンター( http://www.scenario.co.jp/ )に通っていたことがあるんですが、
そこで学んだことも含めて、僕のCGムービー演出法を解説したいと思います。
僕なりに噛み砕いた部分もあるので、シナリオセンターで教えていることと
微妙にちがうかもしれませんが、ご容赦ください。
シナリオのフォーマットには、いくつかのルールがあって、
詳しいことはこちら↓をを読んでください。
http://www.kaji-world.net/home/menu/sinario-ex1.htm
(すごく簡単にわかりやすく書いてあります)
ト書きの上を3文字空けたりするのは、おそらく読みやすさのためのルールなのですが、
それとは別に、表現としてのルールがいくつかあります。
そのルールをおおまかに言うと「映像化できないことは書かない」です。
具体的にいうと
①登場人物の心理描写
たとえば「笹原和也は恥ずかしいと思った」とか「笹原和也は驚いた」です。
心の中の動きは、それ自体は映像として表現できないから、ダメなのだそうです。
「驚いた」は、一見行動や様子のようにも思えますが、
シナリオの作法的にはNGのようです。
では、どう書くかというと、驚いたように見える芝居を具体的に書きます。
シナリオセンターの講師の方が、こんな面白いことをおっしゃってました。
驚きの3段活用として、
「とまる」「おとす」「(落として)割れる」(だんだん驚きが大きくなる)を説明してくださいました。
「驚いた」という表現のかわりに、
「笹原和也の動きが止まった」
「笹原和也が手に持っているペンを落とした」
「笹原和也が手に持っているグラスを落とし、大きな音を立てて割れた。」
みたいな感じで表現するのです。
驚きを表現するのに、
口を開け、目を見開いた表情をするだけなのは、
くさい芝居になるとも言ってましたね。
②文学的表現
たとえば「笹原和也の目の奥に憎悪の炎が燃え上がった」とかですね。
実際に目に被せて炎を合成するなら別ですが、
単に怒りを表現するための描写であれば、NGだそうです。
そんなふうに、
本来、シナリオが目指すべき形のシナリオを書いていくと、
情景がかなり具体的に描写されます。
映像化するとしたら、
そのシーンをどこからカメラで撮るかが決まっていないぐらい。の具体性です。
そこで、はたと気づくのですが、
僕は写実的3DCGアニメーションのカメラワークは一番最後に考えるのが、一番良いシーンになると考えておりまして、絵コンテもあまり必要性を感じておりません。
レイアウト(カメラポジション)を先に決めて、その中でお芝居するのではなく、
お芝居に合わせて、そのなかでもっとも良いレイアウトを見つけるのが、
最新型の臨場感あふれるCGアニメーション演出には必要だと考えております。
だから、演出プランに必要なのはレイアウトではなく、
どういったお芝居をするかの具体性、そして意外性おもしろさなのです。
たとえば、演劇はカメラワークがなくても、おもしろいものは、おもしろいですよね。
固定のひとつのカメラだって、内容がおもしろければ、おもしろいんです。
カメラワークはその芝居の内容を、いかに現場の雰囲気を保ったまま
視聴者に伝えるか、を最優先するべきと、僕は考えています。
かといって、どこから撮られるのかわからないと、
アニメーションをぜんぶ詰めなくちゃいけないから、タイヘン。というのも、よくわかります。
ですから、
僕の理想の作り方としては、
①大まかなアニメーションをつける
②カメラポジションの決定
③アニメーションのディテール調整
という順番で作りたいです。
あと、「絵コンテがないと、何をつくっていいのかわからない」
という意見もあると思いますが、
僕は、きちんとした具体性のシナリオ(台本)があれば、
登場人物が何をするかは理解できると思います。
最後に、シナリオの具体性についてですが、
アクションシーンなどは、
アクターさんやアニメーターが作りながら考えていくところもありますので、
ダイナミックな内容を具体的に記述するのは、かなり難しいですね。
また、役者さんのお芝居のアドリブを尊重するやり方
(予想外の動きは、リアルになります。)もありますので、
お芝居に具体性がありすぎるのも、
よしあしなのかもしれません。
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