2011年1月12日水曜日

シナリオの作法と笹原和也の演出法

僕はシナリオの勉強をしようと思って、
青山にあるシナリオセンター( http://www.scenario.co.jp/ )に通っていたことがあるんですが、
そこで学んだことも含めて、僕のCGムービー演出法を解説したいと思います。

僕なりに噛み砕いた部分もあるので、シナリオセンターで教えていることと
微妙にちがうかもしれませんが、ご容赦ください。

シナリオのフォーマットには、いくつかのルールがあって、
詳しいことはこちら↓をを読んでください。
http://www.kaji-world.net/home/menu/sinario-ex1.htm
(すごく簡単にわかりやすく書いてあります)

ト書きの上を3文字空けたりするのは、おそらく読みやすさのためのルールなのですが、
それとは別に、表現としてのルールがいくつかあります。

そのルールをおおまかに言うと「映像化できないことは書かない」です。
具体的にいうと

①登場人物の心理描写
たとえば「笹原和也は恥ずかしいと思った」とか「笹原和也は驚いた」です。
心の中の動きは、それ自体は映像として表現できないから、ダメなのだそうです。

「驚いた」は、一見行動や様子のようにも思えますが、
シナリオの作法的にはNGのようです。

では、どう書くかというと、驚いたように見える芝居を具体的に書きます。

シナリオセンターの講師の方が、こんな面白いことをおっしゃってました。
驚きの3段活用として、
「とまる」「おとす」「(落として)割れる」(だんだん驚きが大きくなる)を説明してくださいました。

「驚いた」という表現のかわりに、
「笹原和也の動きが止まった」
「笹原和也が手に持っているペンを落とした」
「笹原和也が手に持っているグラスを落とし、大きな音を立てて割れた。」
みたいな感じで表現するのです。

驚きを表現するのに、
口を開け、目を見開いた表情をするだけなのは、
くさい芝居になるとも言ってましたね。

②文学的表現
たとえば「笹原和也の目の奥に憎悪の炎が燃え上がった」とかですね。
実際に目に被せて炎を合成するなら別ですが、
単に怒りを表現するための描写であれば、NGだそうです。

そんなふうに、
本来、シナリオが目指すべき形のシナリオを書いていくと、
情景がかなり具体的に描写されます。
映像化するとしたら、
そのシーンをどこからカメラで撮るかが決まっていないぐらい。の具体性です。


そこで、はたと気づくのですが、

僕は写実的3DCGアニメーションのカメラワークは一番最後に考えるのが、一番良いシーンになると考えておりまして、絵コンテもあまり必要性を感じておりません。

レイアウト(カメラポジション)を先に決めて、その中でお芝居するのではなく、
お芝居に合わせて、そのなかでもっとも良いレイアウトを見つけるのが、
最新型の臨場感あふれるCGアニメーション演出には必要だと考えております。

だから、演出プランに必要なのはレイアウトではなく、
どういったお芝居をするかの具体性、そして意外性おもしろさなのです。

たとえば、演劇はカメラワークがなくても、おもしろいものは、おもしろいですよね。
固定のひとつのカメラだって、内容がおもしろければ、おもしろいんです。

カメラワークはその芝居の内容を、いかに現場の雰囲気を保ったまま
視聴者に伝えるか、を最優先するべきと、僕は考えています。

かといって、どこから撮られるのかわからないと、
アニメーションをぜんぶ詰めなくちゃいけないから、タイヘン。というのも、よくわかります。

ですから、
僕の理想の作り方としては、
①大まかなアニメーションをつける
②カメラポジションの決定
③アニメーションのディテール調整
という順番で作りたいです。

あと、「絵コンテがないと、何をつくっていいのかわからない」
という意見もあると思いますが、
僕は、きちんとした具体性のシナリオ(台本)があれば、
登場人物が何をするかは理解できると思います。



最後に、シナリオの具体性についてですが、
アクションシーンなどは、
アクターさんやアニメーターが作りながら考えていくところもありますので、
ダイナミックな内容を具体的に記述するのは、かなり難しいですね。

また、役者さんのお芝居のアドリブを尊重するやり方
(予想外の動きは、リアルになります。)もありますので、
お芝居に具体性がありすぎるのも、
よしあしなのかもしれません。

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